英語力を活かす仕事 翻訳の校正・校閲とは

proofreading 校正校閲

このサイトへのアクセスを調べると、日本国内から、日本語環境の端末でアクセスする方も少なからずいます。
その中には、英語を学習している方も多くいると思います。
この記事は日本人向けに、語学力を活かせる仕事として、翻訳会社の校正者・校閲者という仕事について紹介します。

校正・校閲という仕事

文章のミスをゼロにすることは、プロの書き手であっても非常に難しいことです。
文章にミスがあると信頼性が揺らぎますし、契約書など文書の種類によっては、大きな問題が生じることもあります。
こうした問題の発生を防止し、文書の信頼性を確保するのが、校正・校閲という仕事です。

校正・校閲というと、出版社や新聞社の仕事というイメージかもしれません。
しかし、翻訳会社でも、校正・校閲は欠かせない仕事です。
翻訳対象となる文書は、安くない翻訳費用をかけてでも別の言語にしたい、重要な文書です。
また、誤訳という翻訳特有の問題もあります。

校正と校閲の違い

校正とは、誤字や脱字などの誤りを見つけ、修正する仕事です。
校閲は、文章の内容にまで踏み込んで、誤りを修正する仕事、と辞書では説明されています。
ただし、翻訳の場合は、別の記事にも書きますが原文あっての翻訳です。
校閲者といえども、内容の不備を修正できるとは限りません。
会社によって、校正者と校閲者が別の仕事のこともあれば、校正校閲者として統合されている場合もあります。
また、チェッカー、プルーフリーダーなどの名前を使っている場合もあります。

翻訳会社の業務フロー

翻訳会社の場合、例えば次のような流れで仕事を行います。
あくまでも一例で、会社の規模や方針によって違いがあります。

1. 営業が仕事を獲得

2. コーディネータが翻訳者に仕事を依頼

3. 翻訳者が翻訳する

4. ネイティブチェック(外国語訳の場合)

5. 校正・校閲

6. DTPオペレータがレイアウトなどの処理

7. 納品

1. 営業が仕事を獲得

お得意様から以前に受けた案件と似たような案件を頼まれることもあれば、新規顧客の開拓のために奔走することもあるでしょう。
受発注をするためのwebサービスを持っていて、webサイトを通じて仕事を受ける場合もあります。

2. コーディネータが翻訳者に仕事を依頼

翻訳者は、正社員として社内にいる場合もありますが、多くの会社では、フリーランスの外注スタッフとして契約しています。
コーディネータは、翻訳対象の分野や、翻訳者の仕事の空き具合を見て、どの翻訳者に依頼するかを検討します。

3. 翻訳者が翻訳する

翻訳者はトライアルと呼ばれる、実務と同様の形式で行われるテストをくぐり抜けています。
それでも、誤変換のような単純なミスをしてしまうことがあります。
また、調査の甘さや勘違いなどから、誤訳をしてしまうこともあります。

4. ネイティブチェック

翻訳は、日本人翻訳者の場合、日本語から外国語への翻訳と、外国語から日本語への翻訳の2方向があります。
外国語に翻訳する場合、知識や経験豊富なプロの翻訳者といえども、ネイティブからすると不自然な翻訳をしてしまうことがあります。
そのため、英訳ならアメリカ人やイギリス人、中国語訳なら中国人に、チェックを依頼している会社が多くあります。

5. 校正・校閲

少し長くなるので、後述します。

6. DTPオペレータがレイアウトなどの処理

翻訳する文書によっては、画像に組み込まれた言葉を訳す必要があります。
また、訳した後で所定のフォーマットに流し込むところまで、案件に含まれている場合があります。
こうした作業は専門的なソフトウェアが必要な場合もあり、翻訳者ではなく専門のスタッフが行うことがあります。

7. 納品

自社の製品カタログやwebサイトの翻訳を依頼する場合、文章の内容を一番理解しているのは依頼人です。
納品した後、依頼人が検収を行い、OKが出れば案件完了です。
誤りが見つかれば、翻訳会社が修正作業を行う場合もあります。
翻訳会社によっては、この後、翻訳者や校正・校閲者に修正点などをフィードバックすることもあります。

校正・校閲に関する業務フロー

校正者・校閲者も、社外スタッフの場合は翻訳者と同様に、コーディネータから案件の対応可否を打診されます。
翻訳者ほどではないかもしれませんが、専門分野を考慮して選定されます。
翻訳作業に入る前から打診することができ、大抵は前もって予定を確認されるため、翻訳者よりはスケジュール調整がやりやすいと思います。
一方、実際に作業を行う時間は、翻訳者より短く設定されています。
翻訳者には5日の作業期間を設けて、校正者・校閲者には1日か2日しかないこともあります。

校正者と校閲者が別の場合、 校正→ネイティブチェック→校閲 の順序で業務を行う会社もあります。
例えば特許の申請書類は、一定の形式に沿っていないと、申請を受け付けてもらえません。
また、クライアント独自のルールが設定されている書類もあります。
そのため、言語としては正しくても、その書類としては正しくない翻訳がときどき発生します。
このような文書の場合、まず校正者が形式面の修正を行い、その後で技術知識に長じた校閲者が誤訳を修正している会社があります。
翻訳者は1つの会社とだけ取引をしている人ばかりではなく、形式の理解が不十分な場合があるので、入念なチェックが必要です。

最後に

この記事では、翻訳会社での校正・校閲という仕事、また、翻訳会社の業務フローを紹介しました。
校正者・校閲者になるためのトライアルの受け方、トライアルの攻略法を、別の記事で紹介します。
そちらもご覧いただければ幸いです。

Comments

Copied title and URL